化学物質過敏症とは?
化学物質過敏症について
(2005年10月3日修正)
化学物質過敏症とは‥
さまざまな種類の微量化学物質に反応して苦しむ、化学物質過敏症(Chemical Sensitivity=CS)。 重症になると、仕事や家事が出来ない、学校へ行けない…など、通常の生活さえ営めなくなる、極めて深刻な“環境病”です。 ※化学物質過敏症は、日本ではCSとも呼ばれますが、欧米ではMCS(Multiple Chemical Sensitivity=多種類化学物質過敏症)の略称のほうが一般的です。 |
■増え続ける化学物質 | ■化学物質過敏症の主な症状 |
■だれにも発症の可能性 | ■自分の身の置き場がない患者たち |
■多い潜在患者 | ■転地先を求めて |
■周囲の無理解にも苦しむ | ■今、苦しんでいる発症者への緊急対策を |
■シックハウスや農薬などで発症 | ■学校で家庭で地域で…子どもが危ない |
■職場や大気の汚染でも | ■化学物質が多動や学習障害の原因に |
■「健常者」のあなたへ |
周囲の無理解にも苦しむ |
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実際、明らかな体調不良にもかかわらず、医師らに「異常なし」「気のせい」などと言われ続け、「CS」と診断されるまで、医療機関を何カ所も渡り歩いた経験を持つ方は、少なくありません。
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シックハウスや農薬などで発症 |
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化学物質過敏症(CS)の発症原因の半数以上が、室内空気汚染です。
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職場や大気の汚染でも |
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職業上扱う有機溶剤なども、CSの発症原因になります。パーマ液や合成洗剤(シャンプー)を扱う美容関係、消毒液を扱う医療関係、化学関係、印刷関係などで働く方々が発症するケースが目立っています。 そのほか、ごみ処理施設による大気汚染で、多くの周辺住民が発症したケースもあります(「杉並病」など)。
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自分の身の置き場がない患者たち |
化学物質過敏症の特徴の一つに、アレルギーなどと比べても、はるかに少ない量の化学物質に反応することがあります。ホルムアルデヒドの室内空気濃度指針値は0.08ppmですが、それより低い濃度で反応する発症者の方もいます。 重症の方は、身の回りの多種類の微量化学物質に反応するため、起きている間じゅう、絶え間なく苦しみます(発症者によっては寝ている間でさえ、不眠や悪夢で苦しめられます)。着られる服がない、使える生活用品がない、食べられるものを探すのも一苦労(農薬や添加物が使われたものは食べられません)。そして何よりつらいのは、自分のこの体を安心して置ける場所がないことです。 |
転地先を求めて |
発症者は、化学物質が出来るだけ少ない環境への転地療養を切望しています。化学物質が少ない環境では、多くの発症者は見違えるほど元気になります。発症者は回復すれば、再び通常の生活が出来るようになりますが、転地療養は回復を早める最善の方法の一つです。 しかし、現実には、転地療養先を探すことはたいへん困難です。近年の住宅のほとんどは、化学物質が揮発する建材が使用されています。運良く古い家を見つけても、前の住人が使用していた防虫剤が染みこんでいる場合があります。 また、家の周辺環境も問題です。近隣住宅での新築・リフォーム工事や合成洗剤使用、近隣の庭や農地でのごみ焼却や、庭・農地・森林での農薬散布などは、発症者にとって脅威です。 発症者の中には、少しでも良い環境を求めて引っ越しを何度も繰り返し、お金をほとんど使い果たしてしまった方々もいらっしゃいます。 |
今、苦しんでいる発症者への緊急対策を |
「シックハウス症候群」が多発して社会問題化したことから、厚生労働省は、室内空気の化学物質濃度に指針値を設けました。国立病院機構の一部の病院では、シックハウス症候群を診断できる態勢が整備されつつあります。2003年7月には改正建築基準法が施行され、シックハウス症候群予防のための法規制が始まりました。 |
学校で家庭で地域で…子どもが危ない |
「シックスクール」という言葉が聞かれるようになりました。子どもにとって安全であるべき学校の環境が原因で、子どもや教職員が化学物質過敏症などを発症したり、または、すでに化学物質過敏症やアトピー、アレルギーになっている子どもや教職員の症状が悪化するケースです。 化学物質過敏症を発症している子どもや教職員の多くは、床に塗るワックスや教材から揮発する化学物質、教職員のたばこや香水、校庭の樹木へ散布される殺虫剤などに反応して、症状が出てしまいます。 また、校舎の新築や改修による集団的な健康被害の発生例も報道されています。 学校側が協力して、教材を出来るだけ安全なものに替えたり、教室の換気を励行したり、教職員がたばこや化粧を控えるなどの対応を取れば、化学物質過敏症の子どもでも通学できる場合があります。しかし、化学物質の問題について知識がない関係者がまだ多いため、子どもや親からの訴えがなかなか理解されないケースも目立ちます。 また、学校側が協力しても学校に通えないほどの重症の子どもの場合は、養護学校からの訪問教育などで対応するよう、文部科学省は指導しています。しかし、「人員が足りない」などの理由で、実施されないこともあります。 化学物質に悩む子どもたちは、「私たちも勉強したいし、友だちと一緒に遊びたい」「ぼくたちも通える学校を造って」と訴えています。 |
化学物質が多動や学習障害の原因に |
シックスクールは、一部の「過敏な子」だけの問題ではありません。 化学物質過敏症の典型的な症状の一つに、集中力・思考力が欠けて落ち着きがなくなる、感情を制御しづらくなり怒りやすくなる、というものがあります。化学物質に曝露されると「キレる」子どもが(大人も)現実にいます。一見すると元気で活発な子どもが、実は病気のせいで“多動”になっていた、という例も報告されています。粗暴だった化学物質過敏症の子どもが(大人も)回復すると、ウソのように優しくなったという症例は、珍しいものではありません。 また、有機リン化合物などの化学物質が、多動を引き起こすという動物実験結果も報道されています(『朝日新聞』2003年10月30日付)。 今日、落ち着きのない子ども、感情を制御できない子どもが、いかに多いかということは、皆さんもご承知の通りです。 親も教職員も、そして子ども本人も気付かないうちに、化学物質の影響を受け、「多動児」「問題児」扱いされている子どもたちも、きっといるのではないかと思われます。子どもがなぜキレるのかを調べる際には、原因の候補に化学物質も含めるべきだと、研究者は指摘しています。 化学物質過敏症の子どもたちが通えるような学校にすることは、他のすべての子どもたちの健康を守ることにもなるのです。 |
「健常者」のあなたへ |
化学物質過敏症を発症していない皆様に、お願いがあります。
■ 予防してください ■ 発症者を助けてください ■ 当センターをご支援ください |
※ここに掲載している内容と、CS支援センターの紹介などを掲載したパンフレット「増えている化学物質過敏症」を発行しています (A4判12頁、色上質紙、大豆油インク)。 ご希望の方はCS支援センター事務局までご連絡ください。 (実費ご負担頂いています) |